書評
林秀彦著「日本人はこうして奴隷になった」(成甲書房)
「臨終に際し、私はドイツ国民のとんでもない馬鹿さ加減を軽蔑し、その国民の一人であることを恥じていると告白する」
ショーペンハウエル
(林秀彦「日本人はこうして奴隷になった」42頁)
「虎が虎以外になることはできず、非・虎化することはできない。しかし、人間は、ひっきりなしに非人間化する危険に曝されながら生きている」(芸術の非人間化)
スペインの哲学者オルテガ(1883~1955)
(林秀彦「日本人はこうして奴隷になった」49頁)
シェイクスピア「ハムレット」より
なんたる傑作であることか、人間というものは!
なんと気高き理性を持つことか!
なんとその能力の無限なることよ!
姿も動作も!
表現、行動の見事さ!
理解力は天使に近く、神に似る!
世界の美がそこにある!
生きとし生けるものの手本!
(林秀彦「日本人はこうして奴隷になった」51頁)
「シェイクスピアは日本人を見たことがなかった」
「何たる愚作であることか、日本人というものは。
理性など片鱗だに持たず、能力は金儲けと鵜呑みのみ。
姿も動作もだらしなく覇気を失い、
表現はテレビお笑い番組の丸写し、
行動は優柔不断、付和雷同、
理解力は保育園どまり。
世界の醜さがそこにある
養豚場の手本!」
林秀彦先生の厳しい日本人評は、最近の日本の政治家をみていて実感する。嘘を平気で言い、悪びれた様子は全く感じられない!その様な政治家の姿を見せられていると、「なんと気高き理性を持つことか!」という人間礼賛のシェイクスピアの言葉がむなしく響く。
「シェイクスピアは日本人を見たことがなかった」という林先生の慨嘆は、自虐的と言えなくもないが、特に最近の日本の政治家の醜態を連日見せつけられていると、さもありなん!と“納得”させられてしまう。
何といってもひどいのは、数年前の、安倍首相のオリンピック招致の国際会議での演説である。彼は、福島原発事故による放射能汚染について、under
controlと国際社会に向けて大嘘をついた。試みに、「アベの嘘」とネットにインプットすると、何十とういう安倍首相の嘘が紹介されている!
浜矩子同志社大学教授は、2018年8月12日の東京新聞「時代を読む」の中で、旧約聖書の中の「格言の書」から、次の言葉を紹介する。「智恵ある人の舌は知識をあふれだし、愚か者の口は愚かさを吐き出す」
さもありなん!