2015年8月19日水曜日

安倍首相の談話は誠心誠意のものとは評価できない

 この度の首相談話は、本音が隠された不誠実な談話と言わざるを得ない。
 例えば、「植民地支配」について、「わが国は、そう誓いました」という表現
で、自分の言葉として語っていない。
 先の大戦が日本の侵略だったと明確に認めず、「事変、侵略、戦争」と、単に言葉を並べただけである。
 「痛切な反省」と「心からのお詫び」も、「わが国は繰り返し表明してきました」というだけで、ここでも首相自身の言葉として語っていない。
 思えば、安倍氏は、オリンピック招致のプレゼンテーションで、福島第一原発事故による放射能汚染はunder control などと国際社会に向けて大嘘をついた。安倍氏は、その後、集団的自衛権の閣議決定、安保関連法案の衆院強行採決という憲法破壊行為をなし、原発再稼働を強行した政権のトップである。その同じ人物による談話であり、本音が隠された不誠実な談話と感じたのは、筆者ばかりではあるまい。
 この談話は、安保関連法案の衆院強行採決後、内閣支持率が急落したのを懸念して、「謝罪等の言葉を入れとけばいいんだろ」という感じで、とってつけたようにして、村山談話にあるキーワードの”言葉並べ”をしたというのが、本当のところではあるまいか。
 その後の報道によれば、日本共産党の山下芳生書記局長が8月24日の参院予算委員会で、安倍首相の「戦後70年談話」について、首相自身の歴史認識をただしたのに対し、首相は、日本による「植民地支配」については、「21世紀構想懇談会の報告書に記載されている。この報告書の上にたって談話を出した」といい、「侵略」については、「どのような行為が侵略かどうかは歴史家の議論にゆだねるべき」といい、自身の見解を最後まで述べなかったと報じられている。
 歴史認識のない、反憲法的、非学問的、非倫理的な人間によって、日本と日本国民の命運が握られている、というのは本当に恐ろしいことである。