2016年8月12日金曜日

ピアノコンクールに挑戦


 
第12回エリーゼのためにピアノコンクールが、去る7月18日、麻布区民センター区民ホールであった。この日は、第1次予選で、僕は、繋部門という50歳以上の部にエントリーしていた。

舞台中央に、グランドピアノがあり、ライトアップされていた。音楽大学の3人の審査委員が会場で審査に当たっているとのことであったが、ホールにそのお姿は見えなかった。

僕の2人前の女性が、ショパンの幻想即興曲を演奏した。プロとアマの中間のレベルの方、という感じの、迫力のある演奏であった。

僕の番が来て、曲目だけがマイクで紹介された。「次の方は、ショパンのワルツ作品69の2とエリーゼのために、です」と、それだけアナウンスされた。

実は、前の日の17日、横浜のアースプラザで、ピアニストの高木洋子先生主催のピアノ演奏会に出演させていただき、同じ2曲を演奏した。高木先生には、時々レッスンしていただき、先生の会に毎年出演させていただいている。特に緊張するでもなく、いつもの調子でピアノに向かうことができた。そのピアノは、はじめて触れる、ぶっつけの演奏であったが、ピアノが僕にピッタリで、弾き始めるとすぐに、ワルツのリズムに乗って、気分よく演奏することができた。続いて演奏したエリーゼのためには、今の僕には、これ以上の演奏はできないという感じで、ピアノに向かうことができたように感じた。演奏後、高木先生から、会場の雰囲気などを教えていただいた。「心にジーンときました」という女性の方の声があったとお聞きし、アマチュアとしてはこれ以上はない、うれしい気持ちになった!

エリーゼのためには、ベートーベン自身の少女に対する恋の曲で、その思いが届かないもどかしさ、やるせなさなどの、心の揺れ、あるいは葛藤のところが、この曲の命ではないかと思い、その辺の微妙な感情を出したいとの思いでピアノに向かっている。

さて、コンクールの本番のことに戻ると、前日の演奏の時と同じ平常心で舞台の中央へ出て行った。

ただし、この日はピアノコンクールであるから、果たして僕の演奏が通用するのか、全く見当もつかないものであった。とにかく、1次予選は通過したい、との思いであった。

前日の横浜のアースプラザでの演奏からすると、80点位の出来であった。そして、ついに審査の結果が郵送されてきた。「第1次予選通過」の文字が目に飛び込んできた!何から何まで、はじめての経験であり、すごく楽しい思いと同時に心の高ぶりを感じた挑戦になった。

第2次予選は、2週間後の7月31日、同じ麻布区民センター区民ホールであった。この2週間、これまでにないほどピアノに向かった。ところが、この緊張が、僕にはマイナスに働いたかもしれない。“本番に強い”などと豪語し、娘の結婚式などでも、ピアノ演奏を楽しんできたのであったが、このコンクール本番は違った。どうも意識してしまったようで、肝心のショパンのワルツの演奏が最悪の出来であった。ここを通過すると、“本選”に出られるぞ、などという邪な感情が出ていたのかもしれない。

第2次予選の通過はならず、本選への道を断たれた。ただ、2曲目に演奏したエリーゼのためにが、審査委員の先生から、比較的好印象の講評をいただいたので、来年、再び挑戦するのを楽しみにしているところである。

2016年3月17日木曜日

飽食の時代のつけ-- 糖尿病患者316万6000人!


 石原結實(医師)著「食べない健康法」(東洋経済出版)によれば、食べなければ体がもたない、などと心配するには及ばない、という。現代の“飽食の日本”を覆う肥満に対する警告であろう。“目から鱗”の、さわりの部分を紹介しょう。重要な健康情報が一杯であり、知っておいて損はない。今日から実践できるものもある。

 表紙の帯にこう書いてある。「食べないと健康に悪い、はもう古い!」「食べないと健康になるが究極の健康習慣」「医師やスポーツ選手が実際にやっている超少食生活の秘訣を紹介!」

 ページをめくると、次のような一文が目に留まった。

  「疫=病気を免れるための力を免疫力といい、血液1m㎥中に4000~8000個(全血液が4~5ℓとすると、数百億個)存在する白血球が、その中心的働きをしている。細菌やウィルスなどの病原体が体内に侵入してくると、マクロファージや好中球が出動して、病原体を貪食・殺菌して処理する。しかし、自分たちの手に負えないほどの敵(病原体)が多かったり、その力が強い場合、マクロファージがヘルパーT細胞に、その旨を知らせる。連絡を受けたヘルパーT細胞は、B細胞の抗体(免疫グロブリン)を作るよう指示すると同時に、キラーT細胞を出動させて病原体を攻撃させる。B細胞から作られた抗体は、ミサイルのごとく、病原体を進撃してやっつける」(58頁)

  同医師は、一般読者に理解しやすいように、別のところで次のように噛み砕いて説明している。

「お腹一杯に飲食すると、食物中の栄養素が胃腸から血液に吸収されて、血液中の栄養状態もよくなる。すると、それを食べた白血球も満腹になり、外からバイ菌やアレルゲンが侵入してきても、体内でガン細胞が発生しても食べようとしない。つまり「免疫力」は落ちるのである。逆に、我々が空腹の時は、血液中の栄養状態も低下し、白血球も十分に栄養を取れず、バイ菌やアレルゲン、ガン細胞を貪食、処理する能力が高まる。つまり免疫力が増強するのである」(3頁)

  なるほど、免疫力が増すといい、落ちるというのはこういうことだったのかと合点した。

  糖尿病の総患者数316万6000人!

  これは、厚生労働省の平成26年患者調査の概況が明らかにした驚きの数字である。

石原医師は、昭和20年代には、日本には数百人しか糖尿病患者がいなかったといい、日本の現在の憂うべき状況に言及し、軽い糖尿病なら「1日2食の石原式基本食」で治るし、中等度以上の糖尿病でも、「1日2食の基本食」で少食の期間を過ごし、慣れた上で、さらに昼を人参・リンゴジュースや生姜紅茶にし、夕食のみ食べるという「1日1食」にすれば、必ず改善すると明言される(22頁)。その具体的食事療法と体験談が巻末に載っている。

  次の動物実験の紹介も衝撃的である。

  「1985年、ニューヨークのマウントサイナイ医大のグロス教授は、ある量の放射線を満腹ネズミに照射したところ100%発ガンしたのに対し、腹5分程度のネズミに同量の放射線を照射しても、わずか0、7%しか発ガンしなかった」(56頁)

 石原医師は、特に下半身の筋力を鍛えることの大切さをいう。下半身を鍛えると一番の利点は転ばなくなることと同医師はいい、筋力を鍛えると体温が上がるという。

  「体温が1度下がると免疫力が30%以上低下し、逆に平熱より1度体温が上昇すると、免疫力は5~6倍になるといわれている」(96頁)

  早速、自分の体温を測ってみると、35度そこそこしかなく余りの低さに驚いた。石原先生のお話からすると、これはまずい、筋力の不足は歴然であった。

  小生、数年前、体重58キロ、胴回り85センチだったが、下腹は膨らんで醜く、自分の体でありながらとても凝視できなかった。

  そこで、石原先生の肝いりで建てられたという伊豆高原のサナトリュウムの体験となった。これまでの人生で、一日食事をしなかったという経験はなかった。ましてや3日間連続の断食など思いもよらなかった。その後、3日間の断食から帰って、スクワットやランニングなど、日常生活に運動を取り入れて数か月経った頃、体重51キロ、胴回り75センチと改善、下腹の出っ張りは完全になくなった。体脂肪率17から一気に12となった。

   しかし、いくら体を鍛えても、肥満を克服しても、アルコール依存だったり、喫煙していたのではダメとしたもの。特に、喫煙は“健康の大敵”であるだけでなく、他者に受動喫煙被害をもたらすという意味で、現代の身近な環境汚染源であることは今や常識であろう(拙著「現代たばこ戦争」(岩波新書)ご参照)

  石原医師の「食べない健康法」は、一読の価値がある本である。

2016年1月24日日曜日

弁護士ドットコムインタヴュー


・弁護士になった理由、きっかけ

  中学生の頃、父が、訴訟に巻き込まれた経験を語り、弱者の味方の弁護士に、とアドバイスされたことが動機になっていると思います。

 

・現在の事務所設立までの経緯

  松川事件で著名な弁護士のいる四谷法律事務所で約14年間執務し、その後、非喫煙者の擁護を旗印として、「嫌煙権確立をめざす法律家の会」の拠点として伊佐山法律事務所を設立して約18年、その後曲折を経て、現在の伊佐山総合法律事務所に至っています。

 

・事務所の強み、他の事務所と違うところ

  弁護士、事務局とも明るい雰囲気で相談者・依頼者に接することを心がけています。

他の事務所と違うところといえば、オフィスに電子ピアノを置き、ライブなどに出演したことのある弁護士伊佐山が、打ち合わせや相談などの後のひと時に、ショパンのワルツなど演奏することもあります。

 

・離婚分野を取り扱う上で、弁護士としてもっとも重要なこと

  人間関係のもつれがバックにありますので、精神的痛手を受けている相談者・依頼者への心遣いが重要と考えています。

  

・離婚分野を取り扱う上で、やり甲斐は

  相談者・依頼者が、精神的ダメージから立ち直り、明るく再スタートを切っていく姿を見るときが、離婚分野を扱っていて、一番やりがいを感じるときです。

 

・離婚の中で、取り扱いの多い事案

  女性の依頼者が圧倒的に多いです。中でも、相手の不貞行為を告発し、慰謝料請求をきちんとして、相手に責任意識を感じさせる結果を得ることによって、依頼者の期待に応えられるように力を尽くしています。

 

・印象深い事件、印象深い依頼者

  ある大学の著名な教授が申立人として、妻との離婚を求める婚姻関係調整調停事件で、伊佐山は、相手方の女性(妻)の代理人として調停に臨みました。

  このケースは、妻が自宅の工事中に、工事の職人の男性と二人でお茶を飲んだだけでしたのに、教授が妻の浮気を疑ったというケースでした。教授の思い過ごしの事案で、妻に対する愛情過多が原因と思われました。電車に乗っても、妻の体が他の男性にちょっとでも触れないように、いつも抱きかかえるようにしていた、とのエピソードには、教授の妻に対する愛の深さを感じました。

  小生は、調停外で、教授に長い手紙を何通か差し上げ、早とちりの決めつけで、相手方の教授に対する愛情に変りはなく、むしろ、このような疑念を抱かれ全く納得できないでいるなどとする内容の手紙を差し上げました。

  2通目の手紙までは、返事も頂けなかったのですが、教授の気持ちが徐々に和み、歩み寄りの姿勢をとられ、その後、教授が離婚調停申立を取下げました。調停に拘らず、期日外での説得が功を奏した事案と思います。その後のお二人の幸せを密かに願っています。  

  

・依頼者からもらった嬉しい言葉

  伊佐山に依頼して本当によかったと言って頂いた時は、弁護士冥利に尽き嬉しいですね

 

・相談者・依頼者は何を求めていると思うか

  相手があることですので、一概には言えませんが、早い解決と成果を得ることと思います。

 

・相談者・依頼者は何に満足すると思うか

  過去にけじめをつけ、気持ちの入れ替えが出来るか否かにかかると思います。

 

・離婚に限らず、弁護士としてのやりがい、ポリシーなど

  3つの視点をポリシーとしています。

  1つは、弱者の立場に立つ。

    高校生の時に病気になり、人生躓きのつらさを経験しました。この時のつらい体験が、その後の人生において、障害やハンデを持っている弱者の立場に立つことの大切さを学んだと思います。

  2つは、社会をよくする。

    消費者活動家のラルフ・ネーダー氏は、市民には二つのタイプがあるとして、社会をよくするための活動に尽力するパブリック・シティズンと自分の幸せだけを考えるプライベート・シティズンに分け、パブリック・シティズンを増やそうと呼び掛けています。私は、ネーダー氏と同じような考え方に立ち、非喫煙者の権利を社会的に確立するための市民運動に力を注いできました。新幹線など全国の特急列車に禁煙車両を新設・増設させる裁判などを、主任弁護士としてリードしてきました。

  3つは、多角的な物の見方をする。

    人生いろいろ、人の考え方は様々です。一つの価値観で物事を決めつけるのは危険です。人間力を磨いて、懐を深くして、多角的に人や物を見るという姿勢がとても大事ではないかと思います。

  

・弁護士ってどのような仕事だと思うか

  社会的発言の機会を与えられることが少なくないので、正義感と見識をもって事件処理すること、その他奉仕の精神で社会活動に力を注ぐことと思います。

 

・弁護士(法曹界)に求められていることは何だと思うか

  特に今の時代は、政治も社会も不正がはびこり、弱者に立つ視点がなくなっているように見えます。このような殺伐とした時代だからこそ、決然と社会悪に立ち向かっていく姿勢が、いよいよ弁護士には求められていると思います。

 

・離婚で悩まれる方へのメッセージ

  被害意識を持たないようにというのは無理としても、他方で、「災いを転じて福となす」という余裕のある態度がとれると、結局立ち直りが早いように感じます。

  いろいろな見方をすることは大事ですが、悲観的ではなく、楽観的な態度の方が、また、諦めよりは希望を持つ考え方の方が、人生を拓いていくように思います。「明るさは人間の強さを表す」と言われることがありますが、真理と思います。