2013年9月25日水曜日

朝日新聞投書(2004年5月5日)から


たばこを厚生労働省の管轄に

                 たばこ病訴訟弁護団長 伊佐山芳郎
                     (「嫌煙権確立をめざす法律家の会」代表世話人)

 (今から9年前に朝日新聞の投書欄に掲載されたものです。データがやや古くなっていますが、ここで指摘した厚生行政の遅れは、現在もまだ続いています ので、のままご紹介します)                      

 5月5日の「なんでだろう、たばこ吸う人」を投書した高橋大樹君(中学生)へ。
「たばこを吸う人はいろんな病気になりやすいし、周りの人はもっと健康を害する、どうして、そんな悪いものを吸うことが許されるのか」という君の疑問は鋭い指摘です。

 たばこ事業法は、「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資する」とその目的を定めています(第1条)。日本では、たばこは財政収入源の問題で、健康問題の視点がないのです。たばこの管轄が厚生労働省ではなく財務省となっているのは、世界に例がなく時代錯誤です。

 国民の命や健康を大事にしなければならない日本の政府は、外国では「肺がんの原因」等表示されている喫煙の有害表示・警告表示を、「吸いすぎに注意」などというあいまい表示でごまかしてきました。人々にたくさんたばこを吸わせて、財政収入を増やそうという国の誤った政策が、「国際たばこ枠組み条約」によって、今大きく変更を迫られています。

 厚生労働省の報告によれば、たばこを吸わなければ死なないですむ「超過死亡数」が1995年時9万5000人(年間)と発表されています。たばこ事業法を廃止して、厚生労働省の管轄にすべきです。25年前からの私たち嫌煙権運動の主張です。